本当はこんなに長かった。
「得三」に依頼された、ライブレビュー。ディレクターズ・カット版(笑)
2004/11/04に「得三」で行なわれた、藤井郷子カルテットのライブ終了後、得三で発行している小冊子に載せるレビューを頼まれました。名誉なことです。
「月末までで良いから」との話に、書き始めたのは本当に〆切寸前になりましたが、あっと言う間に規定の550文字を超え、削るのに苦労したのなんの。
一度寄稿した以上、権利は得三にあるから勝手に使って良いか。という問題があるような気もするけど、削った部分がもったいないから以下全文(^^;


18時15分頃だったろうか。何も考えず階段を昇ってドアを開けると、いつもの「いらっしゃいませ」ではなく「すみません、まだなんです」との一声。えっ?と思ってよく見るとステージ上では、まだリハの最中でメンバーが打ち合わせしているではないか。
仕方無くドアを締め階段を降りかけたのだが、半分も降りないうちに音が鳴り始めた。出だし一発目から記憶に無い曲で、階段途中で思わず足を止めるとまた階段を上がって行きドア越しに聴き入ってしまう。
どうやら新曲のようであるが、そろそろ終わりかな。と思われたその時、突然曲が中断。「ごめん、間違えた」と田村さんの声。「ここのところどうする?」と藤井さんの問い掛けにメンバーが話し合いしているようだが、声のトーンが落ち着いてしまい内容が掴めたのはここまで。
もう一度演奏し直すかとも思われたがどうやらリハは終了したようでドアが開けられ「おまたせしました」と中へ導かれてみれば、メンバー4人はリハの片付け中で、急いで食事にでも行くのだろう、周りの様子は目に入っていないようである。しかし、1人だけベースの早川さんが客の入って来たのに気付いてベースを仕舞いながらも「こんばんわ」と私に挨拶してきたので、思わず「今の曲、新曲ですか?」と聞いてみたところ、ちょっと考えてから「ええ、そうです」と答えてくれた。
そんなわけで、演奏が始まっても、その新曲をいつ演るのか気になってしかたなかったのであるが、結局アンコール前、最後まで演奏されなかった。
しかし、この日は他にも新曲が多かったのである。ツアーの後にレコーディングを控えているとステージで話していたので、この際だから正直に言ってしまうと、初めて演奏する曲もあったみたいで「まだ慣れてません」と顔に書いてあるようだった。
だがそれは落胆したと言うのではない。演奏の質とは別の話であり、演奏結果が毎度同じであるのならば、わざわざライブにやってくる意味は無い。普通ならCD発売記念とかでツアーすることが多く、慣れた曲が中心だと思うのだが、今回は録音前の練習を覗いてしまったような感覚が新鮮であったし、後半なんだか疲れてるようなキレの悪い吉田さんのドラムも初めて聴いたしで、なんだかとても得したような気分になったのである。
さて、件の新曲であるが、この時点で名前はまだ無く「良い名前をつけてください」とかステージで喋っていた。私に言わせれば「SOLA パート2」といったイメージの曲であったので、それっぽい名前を考えてアンケート用紙に記入しようとしたのだが、こいう時に限って良い名前が浮かんで来ない。新曲の名付け親になるのは諦めて、CDに収録されたとき、どんな名前になっているか楽しみに待つことにしよう。
余談になるが、アルバム「ゼフィロス」に収録されている「クリアー・スカイ」という曲は、当初「あしたはれてからくもり」という名前がついていた。そのまんま11拍子の曲で、残念ながらその時は聴いていないが、初の御披露目はここ得三であったという。翌日別会場のライブで「昨日の初演はボロボロでした」と話していたが、名前も曲も気に入っていた私は、楽しみにしていたゼフィロスを手にしたとき、名前が変わっているのを知ってがっかりしたものである。
さぁて、今日聴いた新曲達を次に耳にするのは、ライブが先か、アルバムが先か。本日の余韻はまだまだ続く。

(2005/4/21)

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